小説「一度、あきらめた場所で」第4部

hougen

小説「一度、あきらめた場所で」第4部
  1. 第21声「夕立となり、霧となり、雨となって」
  2. 第22声「再会か、出逢い、それに向けて」
  3. 第23声「4月の天秤 -色彩をもたない彼のことについて-」
  4. 第24声「辺境と流浪」
  5. 第25声「たわめられた時間」
  6. 第26声「小さなカーペット」
  7. 第27声「replace」
  8. 第28声「貴方が高貴にフル廻らん事を」

たわめられた時間

第21声「夕立となり、霧となり、雨となって」

また一年が始まり
長いな、と思う

何かが果たされるまで
僕は耐えているのか
すっきりとしない引き摺りが
僕を迷路に、戸惑いに
置いてゆく

新鮮な気持ちになりたい
一年の始まり
けれど、まだ引き摺りながら
自分の区切りがつかないまま
未練がましい年が明けた


あの時

僕は弱さを確認しながら
曝け出し
それを公開して
作品に調えた

いまは

僕の弱さは救われていないが
区切りがついた
明るみに出す必要性が無い
衝動は消えて
ひっそりとした何かの
消息を遺そうと
誰かに
いや、だから、でも
分からない
僕には手段だけ
目的など無い、のか
僕は自分の事をもう一度、まとめ上げたい


冬ごもりした情熱

離れようとしたとき
身の回りを新たな眼で視えるようになった
棄てられない物事が多く
それらを十分に終えていないこと
臆病風がそこに吹いて

だけど

外側に作る気持ちが無い
新たな隣人を増やしたいと思ってない
いや、交流する事が億劫だ
僕は現状に居場所を確認する

そして、一切を放ってゆく
その軌道ーー

僕はそれを、求めているんだ


舌打ちするんだね
と、人づてに言われた
するよ、僕だって
許容できない全てを
拒否と、とりあえずの受け入れに
現時点での、判定に
描いているんだよ、詩を
これが僕の舌打ち、さ

君だって


腰を落ち着けた頃
またギターの音が聴こえ
これは館内放送で
よくある事
でも耳を傾ける、ぼく

家に帰ったら、また弾きたい


ためらいの丘

口の中の逃げ場

隙間に風


愛し合っていた だろう
きっと きっと きっと
隠れてる 隠れてる きっと
詩は空間を作る
そこに
囲んだ
“愛している”と眼に視える文字に

政治に関われ
奉仕をしろ
…ということでなく
自分の営みに対して、誠実になる
ということ

生きている現実に
誠実な姿を


ゲーテの小説の中に、言葉を見つけた

  “夕立となり、霧となり、雨となって”


夕立となり、霧となり、雨となって

また一年が始まり
長いな、と思う
何かが果たされるまで
僕は耐えているのか
すっきとしない引き摺りが
僕を迷路に、戸惑いに
置いてゆく

新鮮な気持ちになりたい
一年の始まり
けれど、まだ引き摺りながら
自分の区切りがつかないまま
未練がましい年が明けた

       “2014年1月1日”

第22声「再会か、出逢い、それに向けて」


自分の思いと共に、心中してゆく

唄えない 半端な 呼吸

自分が何者か分からなくなる、夜

そして、朝

考えた山積みの 罪悪感


どうして僕は、責任感を
かっこつけて
果たすべき事を
形にしたいのだろう

巻き込んできた人々、ひとり、ひとり
頭に浮かべて
果たすべき事を
形にしたいのだろうか

二度は無い事を、二度
もう一度、出逢い 治す
修復を試みるように
洗い流してくれた表情に

出逢いたい


どうして僕は、
面と向かって言えない事を
溜め込んで
形にしたいのだろうか

洗い流してくれた表現に
自分の思いと共に、心中してゆく
唄えない、半端な、呼吸が
自分を分からなくするだろう、夜

そして、朝

考え抜かれた山積みの 表情


平穏

それが求めていたもの
だが適度に、と
心音が
ただ、遊ばせてもらっているだけ
だが忘れるな

炎に包まれても、焼き尽くされなかったもの

あれは、あれ

あれは、それ

それは、おれ

もうひと波

もう一度

視せてみよう


君のような純粋さ
君のようなひた向きさ
君を見てると
僕は偽物なんじゃないかと
思ってしまう

流れ込んできた事
あんまり綺麗じゃなかったな
僕に架かるのは
これから光らせるための
まだ…まだ、影でだけれど
続けている


僕はまだ君たちに視せたいことがある


再会か、出逢い、それに向けて

第23声「4月の天秤 -色彩をもたない彼のことについて-」


“4月の天秤 -色彩をもたない彼のことについて-”

だから今、これが
葛藤の状態
安定させようと
身を持ち崩さぬよう
バランスを推し量っている

君は動くべきか
君は待つべきか

季節感の中で
語り合い
君の応えを探ってる

安定させようとすると
色んな芽を遠ざけてしまう
出来た、出来るであろう
可能性の芽

だけど、そう
僕らはもう大人だ

自分の根底を揺るがして
変わろうとする余裕が足りない
僕らは自分の形成期を追い立て
継ぎ足すこと、気紛れに手を浸けることは出来ても
深く傾いてゆくことは
危ないことなのさ

そう、

こうして視点が擦れて

大人の立ち位置

動揺の時代を終えた

大人の葛藤


優先順位の生き方
僕らは生活を取る
順序立てた生き方で

大人の詩は、
青春時代への憧憬
大人の詩は、
青春時代との決別
大人の詩は、
青春時代を退ける

生活の詩


ターニングポイントを経て
あっちへ戻ろうと手招きする揺れ動きに
けじめを告げた

行ったり来たりする葛藤は
その不安定さは
心の何処かで自然死する

現象の変化に対応するため
僕らは心の安定を求め
心を葛藤の溜まり場にしない


何処かに手招きする風は

混沌の中に、美を見出す

それを惹き立たせる

儚さの中に、柳を見出す

それを惹き立たせる

憂いの中に、眼差しを見出す

それを惹き立たせる

混沌の中に

儚さの中に

憂いの中に


短い痛みと、長い痛み


だから今、これが
葛藤の状態
安定させようと
身を持ち崩さぬよう
バランスを推し量っている

君は動くべきか
君は待つべきか

季節感の中で
語り合い
君の応えを探ってる


安定させようとすると
色んな芽を遠ざけてしまう
出来た、出来るであろう
可能性の芽

だけど、そう
僕らはもう大人だ

自分の根底を揺るがして
変わろうとする余裕が足りない
僕らは自分の形成期を追い立て
継ぎ足すこと、気紛れに手を浸けることは出来ても
深く傾いてゆくことは
危ないことなのさ

そう、

こうして視点が擦れて

大人の立ち位置

動揺の時代を終えた

大人の葛藤


優先順位の生き方
僕らは生活を取る
順序立てた生き方で

大人の詩は、
青春時代への憧憬
大人の詩は、
青春時代との決別
大人の詩は、
青春時代を退ける

生活の詩

第24声「辺境と流浪」


「辺境」

 いつもの道から
 すべてを知る


「流浪」

 いくつもの景色から
 比較を通じて知る


聴くべき部分がない
ということは
日常と同じだということ

第25声「たわめられた時間」


「再生時間 -4分と15秒-」突然に閃く


大きく変わった事はこの世を去ろうとして、飛び立つその軌道が
生きようとする、延命の持続へ

驚くべき孤独など、ない
結末で考えず、途上としても

時をすこし、速めてみても良いんじゃないだろうか?

たわめられた時間を


何時までこの店は開いているのだろうか?

「まだ完全ではないから」君は云う


君の指先が描いてゆく軌道
もう見せてくれないのか?

何時までこの店は開いているのだろうか?

「まだ完全ではないから」君は云う


時間を速めよう
過去に追い越されてしまうよ
どんどん弓形に たわんでいる

  ページが風で  巡れている

第26声「小さなカーペット」


「小さなカーペット」

 小さな カーペット
 ぼくは その範囲で
 生きてる みたい


動きたくない

動きだしたい


 ぼくに 与えられた
 小さな カーペット
 ぼくは その場所に
 居心地のよさ 見つけてる


染み…


それでも 予感を感じる

そんなこんなで まだ
孤独を やっている


孤独と 漂流

孤独による 不時着

第27声「replace」



   -replace-


人生、取り替えてくれ。誰かと、入れ代わりたい。


この声が、届いたら…


時折の、悪い考え。悪魔の、囁き声。


何を探しているんだろう?


この声は、


まだ孤独を確認している

なんで、まだ、孤独を覚えてる?
愛着がある
孤独に
楽しい音を、鳴らせよ
そのトーンは、乾いてる
解決の音を、鳴らせよ
そのコードは、留めさせる
愛着が湧いてるな
孤独に


この声は


まだ孤独を確認する

第28声「貴方が高貴にフル廻らん事を」


「-貴方が高貴にフル廻らん事を-」


背徳感背負ってるフリなんて
しないでいい
贖罪あったとしても
適応力の無さフリ撒か
なくたっていい
気分屋だとしても

思います

先入観フリ絞って
アングラ気取って型どって
しないでいい
贖罪あったとしても
気分屋だとしても

思います、貴方が高貴にフル廻らんことを

気取って…成り切って…跨いで…ハマって…冷めてって

思います、貴方が高貴にフル廻らん事を

思います

貴方が高貴に降る 廻らん事を

(七尾旅人の1st albumでのvocal風)

小説「一度、あきらめた場所で」第4部

貴方が高貴に降る 廻らん事を

小説「一度、あきらめた場所で」第4部

ゲーテ 色彩をもたない彼のことについて 大人の詩 生活の詩 小さなカーペット replace

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-23

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