好きを探して

最初の方は少しえっちい表現が多いです。
中盤〜後半はそうでも無いと思います。
誤字脱字多いので、気をつけたいと思います。

プロローグ

運命って信じますか?

「んっ……ふぅっ…あっ!…」
「かわいい、かわいいね。小夜ちゃん」
「あぁ!やだぁ…きもちっ…」
「ここ?グチュグチュだ」
「んあぁ!!あ…お兄さんのも…」

ホテルの一室に響く声。息。音。

ピピピピピピピピピピピ

「ん……ふぅ。…時間だ〜お兄さん、シャワー行こ」
「ん〜、やっぱり90分は少ないな〜。もっと小夜ちゃんとイチャイチャしてたい…」
「ふふっ次は120分まってるね〜」
「んぇ〜小夜ちゃん所のお店高いんだよなぁ…」
「頑張れ、頑張れ〜」
「はぁ〜あ、嫁に小遣い減らされたんだよな〜」
「え、そうなの?じゃ、こんな所来ちゃダメじゃん」
「それはそれ、これはこれ。小夜ちゃんに会わないとひと月頑張れないから」
「ハイハイ、ありがと〜。ほら、早くしないと時間、時間」
「洗ったげるよ、こっちおいで」


本物って、信じますか?

出会い

「お疲れ様で〜す!お迎えありがと〜」
「お疲れ様〜。次もこのホテルで、120分御新規様ね」
「うぇ〜。もう足疲れた〜顎疲れた〜」
「まぁまぁ、お金の為だ!頑張れ〜い」
「あ〜い」

デリヘル嬢を初めて3ヶ月。
徐々に指名が増えてきて、そこそこに売上もいい。
今日はこの後の120分の人で3人目。
正直1日3人が体力的に限界。
時間的にも次の御新規のお相手で上がりかな…。

「あ、お客さん部屋入ったみたい205ね。御新規溝口さん120分P指名」
「ま、P指名?やった、バックつくじゃん!ロングだし、最高!がんばろ〜」
「あっははは!小夜ちゃんのそういう素直は所マジうけるわ!行ってらっしゃい」
「ありがと〜ん!いってきま〜す」

ホテルフロントで合言葉みたいなのを行って、部屋番を言うと、フロントの人が了承する。
これは何回やっても部屋間違えてないかとか、どんな人が相手なんだろとか、色々考えちゃってドキドキする。

ピーンポーン

部屋前に立って、インターホンを鳴らす。
ガチャっと音を立てて出てきたのは、少し若めのお兄さん。

「初めまして!小夜です」

最初の印象は大事。
これで時間延長か短縮か最悪チェンジされる可能性もあるから。

「今日はパネル指名してくれて、ありがとうございます!120分って伺ってますが、オプションとか付けますか?」

小首を傾げてちょっと可愛さアピール。
まあ、私の場合あんまり効果はない。
カワイイ系の顔立ちではないから。

「うん、120分で。今回はオプションはいいや」
「は〜い、じゃ事務所電話して料金確認しますね!」

一応P指名…パネル指名っ言って、サイトに乗ってる写真をみて私を指名してくれる人の時間料金は頭に入ってたけど
事務所に連絡して金額確認はルールだから電話する。
この時点で常連のおじさんとか、デリヘル玄人さんたちは色々な所を触ってくる。
このお兄さんは、大人しくソファーで座ってタバコを吸ってる。

「じゃ、お金も受け取ったからタイマーセットするね!」

シャワーの時間も考慮して120分から15分引いたタイムをセットするんだけど、私はちょっと詐欺って20分前にセットする。
だって、15分じゃシャワーして身支度整えるなんて無理だから。

「うん。今日はよろしく」
「こちらこそ!本当に呼んでくれてありがとう!私を選んでくれたってことは、お兄さん、もしやおっぱい星人だね〜?」
「んんんっ。まぁ。うん。否定は出来ないかな…」

自慢じゃないけど、私はおっぱい大きい。
Hカップあるから。
その代わり他の部位もポチャっとしてるけどね。
ちょっとからかっただけのつもりだったのに、顔を赤くして手で口元を隠すお兄さん。
何だかウブなのかな?
かわいい。

「何はともあれ、120分ってロングでとってくれたし、ゆっくりしよ〜ね!お湯溜めてくる〜」
「あ、お湯ならもう溜めといたよ」
「え、本当?!助かります!ありがとう〜」

先にお湯溜めといてくれるってことは、デリヘル初心者では無い…って事だよね…。

「お兄さん、いくつくらい?」
「31になるよ」
「え!見えない!!同じくらいかと思った!!」
「いやいや、それはお世辞すぎるだろ」
「ホントだよ!だって、え〜、え〜」
「クスクス。何?」
「最近の30代って若いよね…私が言うのもなんだけどさ」
「ん〜、言われてみればそうかもね。まあ明日31になるんだけどね」
「ん?明日?……って!誕生日?!」
「そう、誕生日」
「ええええ、そんな大事な日の前日にこんな所来て!私で良かったの?もうそろそろ日付変わるけど、一緒に過ごすの私で良かった?!」
「うん、小夜ちゃん。だっけ?で、良かったよ」
「が、頑張るね!お兄さんのお祝いの為に!小夜頑張るよ!!」
「ありがとう」


ネットに乗ってる年齢も名前もスリーサイズも偽りの私だけど、なんだかこの時はお兄さんの為に偽りない気持ちでお祝いしたい気分になった。

誕生日前日にデリヘル来ちゃうような、寂しいお兄さん。
とっても心が寂しそうに見えたから。
一時でもいいから、私が優しくしてあげたかった。

偽りだらけでも、ひとつくらい、この人に私の本当をあげたくなった。

出会い2

シャワーを浴びて、一通りの準備を済ませる。
その時もお兄さんはあんまり触ってこなかった。
あんまり好みじゃなかったのかな?
けどちゃんと反応はしてるし…。

ベットに入ってプレイを始める。

「んっ…ねぇ。お兄さん。お兄さんは攻めたい?攻められたい?」
「ん〜、攻められたい。かな。」
「うん、わかった、じゃあ小夜頑張るね!」

おっと、Mさんか。
基本ころんって寝転がってあまり触って来ない。
そういうお客さんも多いから、なれてるけど。
なれてるけど…。

「んっふっ…お兄さんの…大きい…ね」
「…っそんなことないよ…」

2人の荒い息が交差する。

「…らって、顎痛いもん…」
チュクチュク音を鳴らして出し入れを繰り返す。

「ありがとう」
気持ちよさそうに目を細めたお兄さんが、頭を撫でてくれた。
優しいお客さんに当たるの久しぶりで、なんだか泣けてきた。

デリヘルって本当に色んな人が来る。
このお兄さんの前に相手した人はAV見て勉強したの?ってくらいに強くて痛かったし。
その前の人はちょっと変な性癖の人だった。

優しい…。
手からじわじわと暖かさが広がってきて。
触られてもないのに、私も濡れてきてるのがわかった。

「お兄さん。本当は、ダメなんだけど…」
「ん?」
「お兄さんの、ちょうだい。」
「え?」
「嫌?わたしと、するの」
「えっと…」
「嫌なら、いいの。ごめんね」

生理前だからかな…。
ムズムズして、欲しくなってる。
しかも、ちょっとゲスい話、お兄さんの形がいい。

「嫌じゃ無いよ。嫌じゃないけど…いいの?」
「うん。入れて欲しい…。」

デリを初めてから1度もお客さんとはした事なかった。
この日の私はどうかしてたんだと思う。
生理前だったし、その前に2人相手にしてて体力も残ってなかったし。
早く終わらせたかったから。

そんな誰に言う訳でもない言い訳を頭の中に浮かべては消していく。

お兄さんがゴムを付けるのを横目に、私がやろうか?と聞くと断られた。
人にされるのは、恥ずかしいんだって。

「仰向けになって、寝転がれる?」
「うん。え、私上のるよ?」
「俺が上になりたいの」

あら?Mさんじゃなかったの?
なんか、目が……。

雄。


お兄さんがいったあと、2人で息を整えながらキスをする。

「はぁ…気持ちかった…」

いったわけじゃ無いけど、それでもなんかいつものセックスとは違った。

「俺も。なんか初めてかも。こんなに気持ちよかったの」
「ほんと?ありがとう。嬉しい」
「こっちこそ、ありがとう」

優しく頭を撫でてくれて、なんだか彼女気分。

「あ!日付変わってるね!お誕生日おめでとう」
「ほんとだ。ありがとう。今日来て良かった」
「そう言って貰えてよかった〜」

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

「あ、時間だ〜。お風呂行こ」
「うん」

いくら恋人みたいな会話をしても、彼女みたいな扱いをしてくれても
お客さんと嬢。

ホテルの一室、限られた時間にしか、夢を見ることは出来ない。

ご指名


ピンポーン

今日ボーッとしすぎてお客さんの情報聞くの忘れてたな…。
指名かどうかも聞くのも忘れてた…。

てか、忙しいからって初っ端予約のお客さんの情報曖昧とかあんまりじゃない?!
今度オーナーに怒ってやる。

ガチャ

「こんにちは〜…って!」
「お疲れ様」

ちょ、本当に情報聞いとけば良かった!!
なんで、よりによってこいつ…。

「とりあえず、入りなよ」
「あ、いや。でも…」
「ここじゃ、何でしょ?」

確かにホテルの部屋の前でゴタゴタするのも避けたい…。
けど、こいつと2人になるのも…。

仕方ない…か。

「で?なんで?私ってわかって呼んだわけ?」
「うん。やっぱりそうだった。顔隠してるけど、見る人が見たらすぐわかるよ」

分かってて指名してくるとか。
ホントタチ悪い。

「元気にしてた?」
「…。ちょっと事務所電話する」
「あ、うん」

「もしもし、小夜ちゃんお疲れ様〜」
「お疲れ様です。あの、お客さん知り合いだったんで、ちょっと帰りたいんですけど」
「えぇ?!そうなの?!それは、やばいね!すぐ迎えよこすから!!」
「はい。よろしくお願いします」

「お待たせ。悪いけど、私帰らせてもらうから」
「え?」
「え?じゃないでしょ。もう付きまとわないでって言ったよね?それなのに…」
「でも、俺は諦めてないよ」
「…水谷くん。本当にやめてよ。もうここまで来たらストーカーだよ?正直怖いよ」
「…なんで?俺は純粋に真由が好きなだけなんだよ!!」
「…今、本名で呼ばないでくれる?それに、私たち付き合ってもないよね?」
「…そんなこと言っていいの?真由がこの仕事してるって、職場にばらすことも出来るだけど」
「…は?」
「真由の職場の人とも俺仲良しだし。いいの?このまま帰って」

なんて、姑息なの?
本当に信じられない。
気持ち悪い。
こいつは水谷。
私の半ストーカー男。
前の職場で出会って、1度職場全体の飲み会で一緒になっただけの人。
それ以外の接点はほとんど無かったし、職場を辞めてからは関わってすらなかった。

「職場、辞めたから」
「辞めたからって、こんな事してるのバレてもいいんだ?」
「…ほんっとに姑息なやつ」
「120分僕が買うよ」
「チッ…」

「もしもし。小夜です。お迎え待って貰えますか?120入ります」
「え、でも…お知り合いだったんじゃ…」
「ふぅ…詳しくは事務所帰ってからお話しますんで、今回は大丈夫です」
「…わかりました。じゃあ、P指名の120分で45000円頂いて下さい」
「はい」

事務所との電話を終えて、痛い頭を抱え振り返ると、すぐ後ろに水谷がいた。

「これで満足?」
「もちろんだよ!けど、小夜が嫌がることはしたくないんだ!だから今日はゆっくりしようね」
「…わかった。正直あなたに裸見られたくないし。プレイ出来る気もしないもの」
「えぇ〜。酷いな。そのうちなれていってよね!」

2人してソファーに座ってルームサービスをとって映画を見て過ごした。

「これ、少しだけどチップね」
「…要らない」
「いいから、とっといてよ。あと、連絡先交換しとこ」
「は?」
「バラされたくないでしょ?」
「…わかったわよ」

「じゃあ、また指名するね!おやすみ〜」

駐車場でストーカー野郎を見送って、迎えの車を探す。クラウン、クラウン…。

「お疲れ様です」
「お疲れ様でした〜このまま次もこのホテルです!120分で溝口さん本指名です」
「あ、はい。わかりました」

さっきの事が頭をぐるぐるしてて、正直ドライバーさんの話が頭に入ってこない。

「あ、お客さん部屋入りました!208ですね」
「208ですね、行ってきます」
「頑張ってください〜」

頑張れか…
私これ以上なにを頑張ればいいんだろ。

好きを探して

好きを探して

大人になると好きな物ってなに?って聞かれて、すぐに答えが出てこなくなるのはなんでなんだろう。 嫌いなものの方が多すぎて、好きが埋もれてみつけにくい。そんなことってありませんか? 生きるのがちょっと苦手な女と愛情表現がちょっと苦手な男の年の差恋愛物語です。 甘いけど苦い。 幸せだけが恋愛じゃない。 タバコを吸った後のキスみたいな味。そんなお話になる予定です。 たぶん。

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-20

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  1. プロローグ
  2. 出会い
  3. 出会い2
  4. ご指名