断ち切るための
ものすごい速度で吹いてきたんだ
忍び難きが
ぼくは手指消毒を徹底的にして
それが過ぎ去るのをじっと待っていた
世界は新しいものが大好きな
ひとつの肺だった
だれひとり祝福してくれないけれど
ここまで来れたことがどうしても嬉しい
泣きそうだ
でももうだめかもしれない
でももうだめかもしれない
と思っている人たちと手を取り合うことすらできない
「それは特に悲しむべきことではない」
と遺伝子がぼくに意見してくるが
どの程度真に受ければよいのだろうか
多数決が絶対であるのなら
それは圧倒的に正しい意見ということになる
夏に向かわない春が存在するなんて
想像さえしなかったぼくが悪いんだ
と不貞腐れることで何かを解決した気になるのは本当に悪い癖だ
と自覚することで何かを解決した気になるのは本当に悪い癖だ
できるだけ楽しい想像をしながら眠ることにしよう
次の季節はきっと愉快な生き物を
好むはずだから
観戦しているぼくを誰かが観戦している
そんな気配を断ち切るための尻尾が
今すぐに欲しいと思うよ
断ち切るための