断ち切るための

ものすごい速度で吹いてきたんだ
忍び難きが
ぼくは手指消毒を徹底的にして
それが過ぎ去るのをじっと待っていた

世界は新しいものが大好きな
ひとつの肺だった
だれひとり祝福してくれないけれど
ここまで来れたことがどうしても嬉しい
泣きそうだ
でももうだめかもしれない
でももうだめかもしれない
と思っている人たちと手を取り合うことすらできない
「それは特に悲しむべきことではない」
と遺伝子がぼくに意見してくるが
どの程度真に受ければよいのだろうか
多数決が絶対であるのなら
それは圧倒的に正しい意見ということになる
夏に向かわない春が存在するなんて
想像さえしなかったぼくが悪いんだ
と不貞腐れることで何かを解決した気になるのは本当に悪い癖だ
と自覚することで何かを解決した気になるのは本当に悪い癖だ
できるだけ楽しい想像をしながら眠ることにしよう
次の季節はきっと愉快な生き物を
好むはずだから

観戦しているぼくを誰かが観戦している
そんな気配を断ち切るための尻尾が
今すぐに欲しいと思うよ

断ち切るための

断ち切るための

詩誌『月刊ココア共和国 2020年6月号』(電子版)に佳作として掲載された詩作品です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-20

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