おわり

おわり

新品のきれいな辞書で、絶望なんて言葉を引く君は最低だね。言葉の狂信者だ。

代名詞だけで成り立つ世界を考えてみる。前の席に座るあの子の指が、ぶらさがった五本のグロになる世界。未来とか友情とか、大人の好きな言葉が六枚切りの食パンと同じ値段になる世界。僕はぶんげーが嫌いです。感受性、そんなものでなりたつぶんげーが嫌い、感受性は食べられない、感受性は楽しめない、感受性は優しくない、感受性は誰も幸せにしない。ほんとうに必要なのは、誰かを幸せにすること。校長先生が言っていただろ。
十三歳。文脈のおわり。僕が凛々しいと思える僕は、野良猫をいじめること、助けること、両方できる僕。男子とか女子とか、国語とか数学とか、これは君の暴力のせいだって知っている。その暴力の破片を光が反射しているものが、時間と呼ばれているって、知っている。ざけんなよ。どうせ、カッターナイフ握る人の内側を、諦観としか表現できないくせに。
おわりなのに中間だった。夢とか希望とかと、税金とか政治とかとの合間でぼーっとしていた。それでも確かにおわりだった。ずーっと沈んでいた。でも、水底にはつかなかった。きれいで、早すぎる夜がきた。

おわり

おわり

ぶんげー信じない人の、プライドみたいなものです。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-19

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