僕の車

僕の車

僕の車は色々なものを吸い込む。
例えば鳥。車を走らせていると、道のところに鳥が阿呆面下げてボケっとしていて、車が近付いたら逃げるだろうと高を括ってそのまま走行したら、車に吸い込まれてしまった。

僕の車は特に変わった装備が成されている訳でもなく、普通の軽自動車だ。
鳥にはもうひとつのパターンがあって、車を走らせていると横から飛んできた鳥が、何故だか車体の下へ鋭角に突っ込み吸収されてしまう。特に音がする事も無く、車に変化もみられない。

鳥に限らず犬や猫、虫とかの生き物も吸い込む。
一度、猫が変な動きをして、フェイントをかけたみたいになって車と接触した事があって、その時はタイヤの泥除けのところで猫の首がスパンと斬れて、クルクルクルっと宙に舞い上がって、後ろを走っていた車のボンネットにトスンと上手いこと乗った。

生き物だけじゃない。石や草木、ボールや看板なんかも吸い込む。
何で吸い込むのか、そして吸い込んだものが何処にいくのか全く不明なのだけど、今日も蛇とカタツムリ、そして欲望なんかを吸い込みながら走っている。

今のところ何の変化もみられない。

終り

僕の車

僕の車

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-18

Copyrighted
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