神社で

野良猫ハミル

男は、神社の境内の横のベンチに座っていた。
覆い被さるような木の葉の間から青い空の様子を見ていた。

神社で

ジジ、ジジジジジジ、と、手探りで進むかのように恐る恐る鳴き出すセミがいた。ミンミンゼミだ。

暫くのあいだ威勢よく鳴いたと思うと、パタッと静かになってしまった。そうしたら、その分を補うかのようにアブラゼミが鳴き出した。

アブラゼミが鳴き止んでふと静かになったと思うとぴしゃりと手を打つ音が二度響いた。
目をやると、参拝者が手を合わせ頭を下げたままじっとしているのが見えた。

それからも時折、セミの鳴き声の合間に2拍聞こえてくることがあった。

なに皆それぞれに、思い描く未来があるんだろうと、当たり前みたいなことを思った。

神社で

若かった頃に思い描いていた未来はどんなものだったろうと、よく思い出すようになった。
この後も今晩も、思い描いていた「未来」に対する今の自分について、答えの持ちようがないことを思ってなんだか虚しくなるんだろう。

神社で

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-17

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