神様
明日以降の日の出を拝むために
みな何処ぞの御社に何度も参拝
祈られるたびに自分が人間ではないと告げられる
社会不適合の感覚で酩酊を享受する
取捨選択の人身御供
慰めにだってなりはしない
穴の空いた賽銭箱の小銭
鴉が光り物を持ち去った
大きな鈴が一晩中泣いている
その泣き声に追い立てられて
また別の社へと足を滑らせる
僕はおそらく神だったが
腰を落ち着ける社もない
どこにだって主がいるから
僕の入る隙などありはしなかった
背広どもがビル風に揺れている
手軽に神に舞い戻る場所を見つけた
小銭を投げ入れて神にしてもらうんだ
一夜限りの派遣信者に囲まれ
感情を介さない労働者に触れて
僕はひとときの虚幸に身を委ねた。
神様