神様


明日以降の日の出を拝むために

みな何処ぞの御社に何度も参拝

祈られるたびに自分が人間ではないと告げられる

社会不適合の感覚で酩酊を享受する




取捨選択の人身御供

慰めにだってなりはしない

穴の空いた賽銭箱の小銭

鴉が光り物を持ち去った




大きな鈴が一晩中泣いている

その泣き声に追い立てられて

また別の社へと足を滑らせる




僕はおそらく神だったが

腰を落ち着ける社もない

どこにだって主がいるから

僕の入る隙などありはしなかった




背広どもがビル風に揺れている




手軽に神に舞い戻る場所を見つけた

小銭を投げ入れて神にしてもらうんだ

一夜限りの派遣信者に囲まれ

感情を介さない労働者に触れて

僕はひとときの虚幸に身を委ねた。

神様

神様

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-15

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