つくってなおしてこわして

 積み木のように、すぐ崩れてしまう街で、ねこのこどもに、ひたすらなまえをつけている、ねおが、欠けた星の部位をあつめて、再生しようとしている団体の、せんせい、というひとに好意を抱いていると知ったとき、わたしは、ねおが、もし、その、せんせい、というひとのこどもをやどしたら、と想像し、ねこのこどもにつけるみたいな、なまえを、つけるのかしらん、日に日に大きくなるおなかを撫でながら、なんて、ふと考えていた。
 コーヒーにうつる、白い月。
 波打って、歪む。
 かみさまって、創るのが好きで、きっと、創るために壊すのも、かみさまの裁量で、おそらく、情、とか、愛着、なんてものは、皆無なのかもしれなくて、(いや、でも)、ほんとうは、そういうのも、持ち合わせているかもしれないけれど、とにかく、あっさりと創られて、あっけなく壊される、ものものへの、思慕、期待は、ひとそれぞれ異なり、大好きだったものが、かんたんに壊されるのは、やっぱりつらいし、かなしいし、身を引き裂かれるような痛みに、夜も眠れないのだと思う。公園の近くにある赤い屋根の家の、その三角の赤い屋根だけが、ごろん、と落ちたとき、でも、また元に戻すかどうかは、かみさまの気分次第で、わたしには、巨大なかみさまが、積み木遊びに興じているようにしかみえない、この街で、ねお、という存在が、うまれ、いきていることが、とりあえずの幸福で、せんせい、というひとが、ねおを、ちゃんと愛してくれるのかを、憂いている。
 二十四時。
 窓際では、まぼろししかみない。

つくってなおしてこわして

つくってなおしてこわして

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-13

CC BY-NC-ND
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