僕
君は。
いつも君は笑顔で笑っているよね。
僕は知っているよ。君の笑顔が僕に向けてではないということも、僕は知っているんだ。君のその悲しそうな顔の訳も。
なのに僕は毎日何もできずにいる。その繰り返しなんだ。
いつになったら僕の口は、君への思いを吐き出すのだろうか。
いつになったら僕の目は、君をまっすぐに見つめるのだろうか。
いつになったら僕の耳は、僕の悲鳴を受け入れるのだろうか。
今日も君は笑顔で僕に話しかけてくる、笑いかけてくれる。
胸が温かくなって、嬉しくなる。だけど苦しくって、痛いんだ。
そう思うたびに僕は今日も僕の無力さを実感するんだ。
知ってるかい?
君は僕のことを親友だというけれど、僕は君に対して好意を持っているんだ。まあ、要するに君が好きなんだよ。
君の鈍感さには毎回驚くばかりだよ。無自覚は、罪だよ。
「おはよう、・・・どうしたの?何かあったの?」
ああ、まただ。こうも簡単に君は僕の心を見抜くんだ。
『なんでもないよ。君の方こそ、何かあったの?』
そして君は僕に嘘をつく。
「・・・何もないよ?どうしたの?急に。」
急にじゃないんだ。ごめん。
『なんでもないよ。』
なんでもあるんだ。ごめん。
「なーんてね、嘘ついちゃった。親友の君には言わなくちゃね。好きな人に告白したんだけど、ふられちゃった。なんかね、気持ち悪いんだって。笑っちゃうよね。」
君は気持ち悪くなんかないよ、綺麗だよ。なんて言えたら、かっこいいんだろうな。
『諦めるの?』
僕は期待しているんだ。君から、「うん」という一言を。
「ううん、諦めない。頑張ってみる!ありがとう、心配してくれて。君に好きな人ができたら何でも相談してね、力になるよ。じゃあね。」
次の日、君は告白を受け入れてもらったと喜んで僕のところに報告してくれた。
初めからわかっていたはずだったけれど、覚悟していたけれど、痛い。
心臓を包丁で真っ二つにされたようだった。
それでも何も知らない君は今日も僕に笑顔で僕に話しかけてくる、笑いかけてくれる。
だから僕も、笑うんだ。泣いてなんか、ないんだ。
君が幸せなら僕も幸せだ。
言い訳?そんなんじゃないよ。
本心からそう思っているんだ。
僕は幸せなんだ。
そして僕は
笑いながら
「目」を閉じた。
僕
フィクションです。はい。気まぐれです。最後はご想像にお任せです。
え~っと、シリーズものにしました。まあ、共通点は・・・その、傷ついた少年ってことで・・・^^
今「君影」という小説を書いているのでそっちもよろしくお願いします。