伝の心(会話)
私の生活で意思伝達装置「伝の心」が会話をする時になくてはならないものになった。テレビリモコン、囲碁ゲーム、文書作成、メール通信などより会話に使うことが第一である。でも便利な機能が付いていれば折角だから使っている。 私の話し方はこれまで上手でなくても、聞き取れないとまでは言われなかった。それが最近では何を言っているのか分からないと家族が言うようになった。病状はかなりの所まで進んだらしい
私は、自分の言葉をよく聞き取ってもらいために声帯を通る空気を意識して強くした。しかし語気を強めて声を大きく出すと言葉は分かって貰えたけれど、そのような発声は怒り声のようで誤解されやすく、何よりも孫たちが怖がるからなるべくしたくないと思った。そのうちに家族との会話が全く困難になったので、やむなく伝の心を使っている。覚悟はしていたが、私の身体能力、反射神経では幾ら練習しても、この装置を使いこなしてスピード感のある話に持っていく事は出来なかった。常にゆっくりした間の抜けた会話になり,相手はじれったい様子になる。頭の縦ふり、横ふり(つまりハイとイイエ)だけで済むなら私にも簡単に出来るが、会話をその様にするには相手も気を利かしてくれないと駄目だ。それもまた疲れる。
私に一番良い方法がある。私には急ぐ用事などないのだから、伝の心にあらかじめ予想される言葉を用意しておき、必要に応じてそれを声に直して使うことだった。例えば「おはようございます」、「お願いします」、「ありがとうございました」などである。この三つを使うだけでも普通のことなら大概の用事は済んだ。もっと大事な用件がある場合は丁寧にゆっくりと、分かり易い文章で書いておき、相手(妻や息子ら)の都合のいいタイミングに合わせてしっかり聞いてもらうことにした。これなら何回でも反復できたし、必要に応じて修正、確認もできた。私が伝の心を使って意思伝達する時は、この方法がよいと思っている。ただ、何時でも好きな時に会話出来ないのが残念だ。
2020/6/11
伝の心(会話)