紫陽花
雨に濡れる紫の紫陽花
滴る雫が涙みたい
窓辺のキミが小さく呟いた
その声をまだ覚えている
雨の音にかき消されてしまいそうなほど
小さかったのに
ボクの耳に響いて
今でも離れない
それは確かに
キミが此処にいた証
ボクだけが知っている
キミの輪郭
薄暗い部屋で窓辺だけ僅かに明るい
白くぼやけた昼下がりの風景
今頃になってそれが気がかりになったのは
きっと今此処にキミがいないから
キミはどこへいってしまったの?
あの日からボクはずっと
ずっと止まない雨の中
一人で空が晴れるのを待っている
紫の紫陽花は今年もまた咲いて
雨に濡れている
滴る雫がキミの涙みたいだよ
紫陽花