世界から脱落する

空が剥がれ落ちる様子は古びた合皮がめくれるそれと似ていた。なんだかあまり綺麗じゃなくて、わたしはお兄ちゃんとただ崩れゆく世界を呆然と眺めていた。お兄ちゃんは優しい人だから顔を顰めて、剥がれ落ちた先の真っ黒い部分を睨めつけたけど、あれは傷だらけとわたしたちの体と一緒なんだと思った。

世界から脱落する

世界から脱落する

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-09

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