勇気

あのタワーの足元に雲が群がるということはきっとあれは雲より高いのだね。父が私の頭を撫でながら穏やかに話していたのを覚えている。電車の窓から見えるタワーは今日も夕焼け雲を跨いでいた。もう頭を撫でる人は居ないけれど、あれは変わらず雲を従えているから私も少しだけ図々しくなれそうだった。

勇気

勇気

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-09

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