猫の気持ちがわかりますか...逃げた退職金

山田小町

まえがき
猫の気持ちが分かりますか。人さまにに聞いても分かるわけがない。串の先が口に突っかかる...串団子のようなご主人さまと、いろいろな事情を抱えた野良猫との日々の暮らしをシミリー、比喩を小道具にして語りかけています。床を3回手でたたくときは、こっちにこい。1回のときはあっちに行け、2回のときは勝ってにしろ。頬に手のひらをあてると好き...返すときらい。今回は邪馬台国...卑弥呼の神霊術…鏡の呪いを行使させて頂きます。隠し事が多いほど、顔が醜く、風船のように腫れあがります。

同じマンション内の敷地で、うそみたいに本当にあったお話です。卑弥呼の神霊術がすごい。

はい、小町ちゃんですよ。
今日もカラカラ天気...お暑いございます。
A棟にお住まいの奥さま、あなたにご挨拶しているんす。

猫と云うことで無視して通り過ぎるんですね。

それなら、根掘り葉掘り...突っ込んだお話しさせてもらいますよ。
うわさでは...定年退職された旦那さんが、退職金と若いおんなを抱えて行方不明...。
遠いところに行かれたと思ったら灯台下暗し、同じ敷地内のC棟に住んでいた。
もう近所の笑い話です。
どこそこの奥さまは、おかしくて...おひそでお茶を沸かし、毎日お飲みになっているそうです。
お湯を沸かすガス代節約で、結構なお話しと大喜びです。

それはさておいて、A棟にお住まいの奥さま、小町ちゃんを無視した罪で、猫であるわたしから二つの刑をあたえます。

一つ、体重計の刑。お乗り下さい。...200キロ、致命的な数字が出ました。
今日の朝測ったときは60キロですと、奥さまは平気でうそも付くんですね。
二つ、階段の刑。贅沢に、25階にお住まいですね。エレベーターの電源を切って置きましたので、階段で昇りください。
そして降りてきて、もう一度階段を昇り下さい。これだけで4キロ痩せることが可能です。

いじわるされたくないなら、正直に答えて下さい。

A棟にお住まいの奥さま、猫であるわたし...小町ちゃんをご存知ですか。

はい、存じております。
人間より利口な猫と評判です。顔立ちもよく、猫にしておくにはもったいない...ABC棟の評判です。

そうじゃないかと思ってはいましたが、そこまで評判なんですか。
わたしのことを知らないなんておっしゃるから...つい悪口が過ぎました。

本妻のところに戻る気はないか、退職金は残っているか、二人目のお子さんはどうなのか。
おわびに、逃げた旦那さんの情報を逐一お知らせしますので、ご気分を直して下さい。
エレベーターの電源は入れておきました。

ああ...道草が過ぎた。きっとご主人さまが心配しているに違いない。
ただ今ー。
あれ、帰ってきたの。ゆっくり散歩して、気がむいたらそのまま帰らなくていいのに。

何と冷たいご主人さまのお言葉。
ご主人さまの膝もとでは、姉のきなが「そう帰らなくてよかったんですよ。平和に暮らせたのに」。
なんと同じ血を分けた兄妹とは思えぬ発言をした。

野良の習性で姉のきなはご家族が食事のときは、テーブルの下で首を長くして食事のおこぼれを待っている。魚の骨しか落ちてこないのに、
なんど首を痛めても、習性にはあらがえないのです。
姉のきなは虎顔で、お世辞や冗談でも美人と云われた試しがない。
楊貴妃 クレオパトラ 小野小町、世界史に残る美女に...勝るとも劣らぬ山田小町、わたしのことを妬んでいることは周知の事実。

それにしても...頭に来たので、洗面所から手鏡を引きずって来て姉のきなの前に置く。
多分 、自分の顔を見て失神するでしょう。

家のなかの雰囲気がしっくりしない。
時間をつぶそう。
もしもし、A棟に女房を置きっぱなしの旦那さまのお宅はこちらですか。

猫が、何だ。
A棟の25階、捨てて来た奥さまの依頼でいろいろ調べさせて頂きたく、参上しました。

死んだと云ってくれ。
死んだと本人が云ってました...と報告しておきます。
お子さんは一人、それとも二人...退職金と残高、こちらにいつまで滞在されるのですか、お答え願います。

どうしてもお答えできない、と云うのでしたら、邪馬台国...卑弥呼の神霊術…鏡の呪いを行使させて頂きます。
その手鏡にはうそを付くと顔が、醜い妖怪に変わる術が潜む。
うそが多いほど...世界中の蜂に刺されたように顔が腫れあがる。
その腫れは、真実を話すことで引いてしまう...邪馬台国の秘術でもある。

手鏡をみた瞬間...顔が腫れるまえに、Cl棟の旦那は本音を吐いてくれた。

子供二人ともDNAが一致せず。退職金...若い女の口座、残高不明。A棟に帰る予定、未定。

いい情報、収穫なし。
A棟の25階までわざわざ出かける必要がなくなった。他人の女房ですが、半分なかよしになりかけたのにて...残念。

家に戻る。
姉のきな...引戸のすき間で仰向けにひっくり返っている。
救急車でも呼ぼうか、重病にもみえるが、病気じゃなくて自分の顔の醜さにおどろいて...ぶっ倒れたのです。

先ほど、邪馬台国...卑弥呼の神霊術…鏡の呪いを、軽くかけて差し上げたのです。


はい、小町ちゃんでした。
妹にはやさしくしましょうね。
でないと姉のきなみたいに、呪いの手鏡が下ります。分かって頂けました。

猫の気持ちがわかりますか...逃げた退職金

猫の気持ちがわかりますか...逃げた退職金

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-09

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二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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