コイビトのような

女は「死にたい」と口にする。
二人は合わないのだ。一緒に居てもお互いを傷つけ合うだけだ。だが、身に余る寂しさを埋めるには丁度いい相手だった。
「死にたい」
「私も」
狭い部屋に沈黙が流れた。そう言いながらこれまで生きてきた二人だ。きっと、これからも図太く生きていくのだろう。死ぬまで。

コイビトのような

コイビトのような

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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