20190612

ここはセメントの臭いがする。
電車に乗るなりマスクを付けた。
隣の吊り革に捕まる人は、顔が黒くて見えない。
天に向かって伸びる建物は窮屈そうで、灰色の空と同化していた。
駅に着くと扉が開く。
また、セメントの臭いがした。
この街に色付いているのは、地面の小さな水溜まりだけだった。

20190612

20190612

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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