雲の掛からない夕陽は、それは火傷しそうな灼熱の赤で、大層美しい円だから、視線が吸い寄せられるのだけど、僅か三秒でも見つめた暁には、僕の水晶体は角膜ごと持っていかれそうになるんだった。あんなに離れているのに、僕の双眸は引力を感じるのだから、この眼だけは確実に宇宙の軌跡を知っている。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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