あの星の地と

わたしは金星に降る雪でした。ちらちらと地の上に落ちました。誰にも見られていませんでした。それでも金星に降る雪として、わたしは生きていました。金星には何もありません。わたしは誰とも会話出来ないのです。地に落ちたわたしは、溶けてしまうだけでしたが、金星の土は存外寝心地が良いのでした。

あの星の地と

あの星の地と

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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