奪うと与う

狐を初めて撃った時の感覚を、今でも覚えている。草陰に行くと、子狐が隠れ切れずに転げ出てきた。急所を外され、まだ息のある母にまとわりつき、乳首の位置を探っている。賢い母は子らを守ったのだろう。俺は徐にそれを懐へ詰めた。罪滅ぼしのつもりだったのか。俺が得た物は鉛玉より重い事を知った。

奪うと与う

奪うと与う

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted