孤独

俺は風呂場では人魚だった。四角い浴槽は狭い。浸かると下肢に鱗が現れ、脚の隙間が埋まり、大きな鰭が生えた。潮騒が恋しかったが海で泳いだ同胞は殺されたそうだ。俺はこの狭さと引き替えに生きている。最早、同胞がどれ程生き残っているか不明だった。人間に気付かれてはならないからだ。この姿を。

孤独

孤独

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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