舐め合い

惹かれるのは同じ傷みを味わったことのある人間だった。そうすれば容易く共感を得られるからだ。僕には彼女の悲哀が手に取るように分かる。彼女もまた、僕の心臓の杭に優しく触れてきた。幾千年と生きる中で唯一の安らぎだった。お互い、今さら愛などでは癒せなかった。生き血を啜り、傷を傷で塞いだ。

舐め合い

舐め合い

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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