妄執

彼女と体を重ねる度に、彼女の過去を見透かしてしまった。男が、女が、その肢体を触り、満たしていた痕を感じてしまう。間接的に、知らない人間と体を重ねている様でもあった。これは記憶か、それとも妄想か。彼女の全てを独占出来ない歯痒さと、吐き気のする気持ち悪さを、慣れない煙草で誤魔化した。

妄執

妄執

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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