それぞれの人の心には、 小さな年月天が住んでいる。 幸せを望み、純粋を求め、自由を渇望し、心配事のない世界を願う。 祈りの心は宇宙のように広く、思考は星河のように流れる。 ある年のある月のある日に生まれた年月天は、この時代の人々が信じる様々な神々を崇拝する。それは「八百萬の神々」と呼ばれるものだ。 そして、主人公の年月天は、本來は平凡な存在であるはずだった。しかし、彼は6歳の時に母親が亡くなり、彼女の能力を意外にも受け継いだ。それは十二月天の守護精霊とコミュニケーションを取ることができる能力だった。
銀河系の一角に汎人類世界の版図が拡大した未来-。 惑星ホルス生まれのニルヴァは惑星タルサに降り立つ。600万年前にラプサイト人が遺した遺跡を見て回る機会を得たのだ。 風化した地上の遺跡と別に、ラプサイト人は地底の奥深くに都市を造っていた。地底の遺跡都市は三十年に及ぶ調査を経て一般人を調査隊のメンバーに加えるようになり、ニルヴァは抽選で選ばれたのだった。 地下300メートルの「港」から次元推進するラプサイトの船は岩盤をすり抜けて遺跡都市の大河の上流に降り立つ。船は川の流れに乗って下流へ進み、ニルヴァが加わった調査隊のクルーは船で寝泊まりしながら、遠い昔ラプサイト人が退去した町や都市を調査して海に至る――。