ロバート・スタンリーはロンドンに住む貧乏な少年。病弱な母を抱え、アルバイト三昧の毎日。そんな彼は、ある日離婚した元の父から奇妙な申し出を受ける。なんでも、イートン校に通う双子の弟、アーロンの代わりに二週間新しい就職先で働いて欲しいというのだが… ロンドンの郊外、コッツウォルズにあるマナー・ハウス『メリー・モナーク(陽気な王様)館』 大の金持ち嫌いに父親嫌いのロバートは、渋々申し出を受ける。成金の親父の儲け話をブッ潰してやれ! 友人に吹き込まれ、心象穏やかでなく出かけていくロバート。彼を迎えたのはなんとたった三人のスタッフだった。元レストラン兼パブの店長、昼間は美大生のメイド、元乞食の執事。館を取り巻くおかしな噂。ロバートは父の企みを知る。亡霊の住まう呪われた館に、彼を身代わりに向かわせたのだった!…… イギリスを舞台にしたファンタジー
家族みんなから望まれて生まれた、一人の女の子。彼女はちょっと不思議な力を持っていて、とにかく勉強が大大大嫌いでした。それなのに、何故か東京大学を受験することに――。興味も知識も経験も偏った一人の女の子の奮闘記。
「明日、大事な話があるから」 告白を匂わせる一言とともに、ミナと別れたケン。しかし、翌朝教室に現れたケンは、黄金の鎧に身を包み、ミナのことを『姫』と呼ぶ。ケンの運命は、そして、二人の恋の行方は。二つの世界をまたぐ、剣と魔法のファンタジー。
大学をしくじった太一は、林工務店でアルバイトを始める。 職人の坂下さんは、太一の父親と同い年である。 ある日、太一は、現場で、不思議な経験をする。 太一の傍を離れない女の子がいるのだ。 その子の目的は何?
昼の来なくなった世界。エネルギーの確保が困難になり、都市を放棄した世界。 シイとアリスは、小さなコロニーで兄妹のように育った。「パーツ」として、世界の行末を担う存在として。 「ワタリの祭礼」を経れば、世界は「次の世界」へと移行すると人々に信じられていた。だが、シイとアリスだけは、真実を知っていた。「パーツ」の自分たちが何を意味する存在なのか。この世界が今後どうなっていくのか――。
江戸時代、柿木金助という大泥棒が名古屋城の天守閣に大凧で真夜中に降り立ち、金鯱の金の鱗を盗んだ、と言う話があります。 さて、鱗を剥がされた鯱はどうなるのでしょう? ◆大人と子供さん向けの冒険物語風の童話です。
時は町人文化が真っ盛りの元禄時代。 江戸の町人たちの間では、桜尾山に現れるという、男を食い殺す美女の化け物の噂で持ちきりだった。その噂を耳にした江戸でも三本の指に入る美人女形役者の美之助は、気が気でなかった。 やがて、彼は商売道具である、化粧箱と手鏡を持って桜尾山へと向かうのだが……。
素朴な牧人の青年メロス(Möros)は、人間不信のために多くの人を処刑しているシラクスの暴君ディオニス王の話を聞き、激怒する。そして王の暗殺を決意する。しかし、あえなく衛兵に捕らえられ、即刻処刑されることになる。 メロスは親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくことを条件に、妹の結婚式に出るため三日間の猶予を得る。 王はメロスを信じておらず、死ぬために再び戻ってくることなどはないと言いのけた。