いつか投稿した、『斎藤マリー・ストーリー』のサイドストーリー。 脇役であった川口幹夫(ミキオ)に焦点を当てる。 彼は強制収容所7号室で不思議な夢を見るようになった。 それは高校生の彼が知るはずもない、20世紀の大戦争の歴史だった。 大祖国戦争で最大の激戦地となったスターリングラード戦、ママイの丘の激闘。 独ソ両軍が何度も占有権を奪い合い、 兵隊の屍が重なり合って丘の形が変わったと伝えられている。 ミキオは、夢の中でソ連軍の軍服を着ていた。 弾薬が満載された短機関銃を持たされた。 丘の先にいるドイツ戦車部隊に照準を合わせる。 戦争のことなど何も知らない日本人の彼が、そこで一体何ができるのだろうか。