【狂気の月】世界に点在する神々の物語、それが今浸食されている。一つの神話により生み出された『悪』は他の神話さえ飲み込まんとし、ある者は染め上げられ、またある者は抵抗し。だが、それをせき止める両手は余りにも小さく―――【嘆きの太陽】
仮想幕末を舞台にした日帝国の陰陽師、玉依奏炎。陰陽師の軍隊に入隊した彼は、極秘裏の任務を負う零番隊の隊長となる。そんな彼に与えられたのは、近頃都を騒がせている殺人犯の調査。 奏炎は、その犯人が強大な力を秘めた妖だと気付く。 そして事件の背景には、悲しすぎる妖の物語が隠されていた… 「ある事情」から妖に同情を抱く様になる奏炎だが―――?
震災から20年経った2031年、日本は三つの国に分裂した。それから十数年、ぼくの高校では「日本」の話題が広まっていた。「ねえ、『日本』って知ってる?」
江戸時代の末期。 当道座という盲人を束ねる団体を管理、支配する検校という役職があった。 その検校の一人である彦一という盲人の、波乱に満ちた少年時代の話。 ある秋の夜、彦一のもとに一匹の物の怪が訪ねてくる。 その物の怪の歌う歌に誘われて、自らの不幸な生い立ちと、なりふり構わぬやり口でのし上がった自分の人生を振り返る彦一。
江戸時代に江戸の色町、音羽町の長屋に住んでいる、半次郎という骨接ぎの話。 ひょんなことから夜鷹の母子を助けることになった半次郎だったが、ある藩の跡継ぎ問題に巻き込まれてゆく。