店内のテーブルで今日の売り上げを計算していた坂上は、人の気配にハッとした。「副店長、戸締りお願いしときますね」 最後まで残って後片付けをしていた、一番若い板前の米田だった。「ああ」 坂上は、ざっと店内を見回って必要のない照明を消し…
食べ物の好みというのは、地域や文化によって千差万別だ。以前、『イスラムの人たちはブタ肉が食べられなくて可哀相ね』と言ったアホなアイドルがいたらしいが、逆に、オーストラリアのアボリジニなどは『文明人はイモムシが食べられなくて気の毒だ』と…
いくつかここで問題があります 問題はたったの2つ 貴女ならどう答えますか? グロテスクな表現がございますので、閲覧の際にはお気をつけ下さい
京都府亀岡市の山中にある社、『三原稲荷神社』。通称、『廃神社』。 女子高生、橘 三咲は、とある縁からその廃神社に足繁く通う物好きの一人。神社の宮司代務者を名乗る青年、狭間とはそれなりに親しく、くだらないことから悩み事に至るまで気軽に打ち明けられる仲である。 ある日、いつものように学校帰りに訪れた廃神社で、他愛のないお喋りから、かつてこの神社で起こったと云われる伝説を狭間の口から聞く。それはある二人の男女の、忘れ去られた恋の話だった――。 時は遡り、世は宝永三年の花見月。 丹波国亀山の山中にある『三原稲荷神社』の巫女、葵は、育ての親にして神社の宮司を務めていた翁を喪い、途方に暮れる日々を送っていた。 そんな葵の前に、自らを『思想家』と称する一人の賽銭泥棒が現れて――? 不自由な巫女と、化外の力を持つ思想家が織り成す異聞奇譚!
今はネットで本を買える時代だが、アツシはリアルな本屋が好きだった。ズラリと並んだ本の中から、予想もしない掘り出しものを見つけるのが楽しいのである。だが、楽しさに我を忘れると、後悔することになる。タイトルや装丁に惹かれ、中身をよく確かめもせず…
ここは郊外にある、政府の秘密研究所。その日、新聞やテレビで時々目にする政府高官が、いかにもお忍びという様子でやって来た。出迎えたのは、この研究所の責任者らしい老人である。「長官、お待ちしておりました。とりあえず応接室にご案内…
取引先と思いがけず話が弾んでしまい、塚本が勘定を済ませて外に出た時には、もうとっくに終電を過ぎていた。夫人が車で迎えに来るという相手と別れ、塚本はタクシーを探すため、ふらふらと道沿いに歩き始めた…