【聖ベルサレム学園】 通称『ベル学』 広大な敷地を有するここは全寮制でミンション系の学園。 この学園は去年まで別の名で呼ばれていた。 【聖ベルサレム〝女学園〟】 そう、去年までこの学校は女子高だったのだ。 『ベル学』の生徒数は約一二〇〇人。 内、男子生徒の数はたったの……四人。 そんな学校に理不尽な親のせいで無理矢理転入させられた一人の男子生徒がいた。 彼の名は【八園寺 統志朗《はちおんじ とうしろう》】 彼には一つ、どうしても苦手はものがあった。 それは『オンナ』 過去の経験により、『オンナ』を嫌い、『オンナ』を避けて生きてきた。 そんな彼が去年まで女子高で、しかも男がたったの四人しかいない学校でどうやって生きていくのか。 そして彼の『オンナ嫌い』の行方は……。
12月25日、その日俺はクリスマスだってのに最悪の一日を迎えた。▼罪と欲望に支配された街、テン・シティ。そこを仕切るのはご存知この街の裏路地まで名を馳せる大悪党、ロバート・テン。早朝俺の探偵事務所に上がり込んできた時には息の根を止められると思ったが、奴は依頼人として俺の前に現れた、しかし外は犬共に張られてるようだ。本当に面倒な事になった…。
吾輩は猫叉(ねこまた)である。遥かな昔、人間に飼われていた頃には名前があったが、もはや忘れた。口さがない連中は吾輩を化け猫などと呼ぶが、失敬極まりない。同じく齢(よわい)を重ねた猫の変化(へんげ)した妖かしであっても、品格が違う…
ああ、ああ。ええと、音声ワープロは動いているかな。あれ、余計なことまで印刷されちゃった。まあ、いいや。後で削除しよう。『宇宙の不思議』を読んで。4年3組遠山ヒカル。ぼくは課題図書の中から、『宇宙の不思議』を選びました。なぜなら、ぼくは…
「あなた、ゴロゴロしてる暇があるなら、庭の草むしりぐらいしてよ」「ああ」庭付きの家を買ったのが八木の秘かな自慢だったが、特にこの季節には、どうしてこんなにと思うぐらい草が生えてくる。しかし、子供がまだ小さいので、除草剤をバンバン撒くわけにも…
美容院のドアを開けた途端、西城の足元に何か茶色いものがまとわりついた。驚いて下を見ると、モコモコした毛の小さな犬だった。「まあ、チャッピー、おやめなさい。お客様が困ってるでしょう」 そう言ったのは、この店のオーナーらしき婦人であった…
そこは従業員百名ほどの小さな会社だったが、不相応なほど立派な従業員用体育館を持っていた。体育館としてはもちろん、従業員の集会などにも使われている。「社員全員体育館に集合しろって言われたけど、何かあんの」「さあ、よくわからんけど、社長命令らしい…
深夜のコンビニ。その出入口から死角になる電柱の陰で、その男は目出し帽を被った。 コンビニに店員一人しかいないのを確認すると、男はポケットからナイフを取り出し、二三回深呼吸してから、一気に店内に駆け込んだ。「強盗だ!カネを出せ!」…
何十年ぶりかに日本に来た世界的な名画が、何者かによって盗まれてしまった。下手をすれば、国際問題になりかねない。本来であればすぐに警察に通報すべきだろうが、その名画を展示していた美術館の館長は悩んだ末、ある人物に連絡をとった…
小柳が住む街でも、カラス対策として生ゴミの夜間回収が実施されることとなった。生ゴミを出す時間が変わったといっても、その仕事はもちろん亭主たる小柳の役目である。その日もギュウギュウに詰め込んで一袋に収め、角の電柱の下に持って行った…
安田の会社では、年に一度、社員を何班かに分けて慰安旅行をしている。今年は田舎の温泉旅館に泊まることになった。貸し切りバスで観光スポットを巡り、旅館に戻ったら大浴場で汗を流し、浴衣に着替えて大広間で宴会をやるという、お約束のコースである…
ここは、とあるスポーツの世界大会を数日後に控えた街。その街の目抜き通りにある老舗のホテルでも、着々と選手団の受け入れ準備が進められていた。だが、何らかの手違いにより、よく似た名前の別々の国の選手団を二重に予約受注していたことが…
これは自然に対する暴挙というものだ。眼前に広がる光景に圧倒されながらも、男はそう思った。久しぶりに戻った故郷の村は、まるで様子が一変していたのである。男が幼い日々を過ごした森は切り払われ、柔らかな曲線は幾何学的な直線にとって代わられ…
(作者註:虫が苦手な方は読まないでください) 相川が娘の智子の挙動不審に気付いたのは、夏休みが始まって間もない土曜日だった。今年中学に入った智子は、夏休みになっても部屋でゲームばかりしていたのだが、その日は庭に出て何かコソコソやっていた…
新人ベルボーイの明石は、その男を一目見るなりヤバイ系のゲストだと思った。ごつい体にストライプ柄のスーツ。金色に光る腕時計。極端に短く刈り込んだ髪に、長く伸ばしたモミアゲ。脇に挟んだセカンドバックとは別に、怪しげな紙袋を持っている…