「お父さん、お久しぶりです」「おお、シゲルか。元気にしていたか」「はい。家族もみな変わりありません」「それは何よりだ。ところで、研究は進んでいるかね」「ええ。お父さんの研究を引き継いでから十年になりますが、新しい機械を導入した効果もあって…
マミはロボットのトモゾーが大好きだった。 マミが物心つく前からトモゾーは家にいた。パパに聞いたら、パパもそうだと言う。トモゾーを買ったのは、パパのパパ、つまり、マミのおじいちゃんだ。人間ならもう六十歳を超えているはずとパパが言っていた…
森のクマが企画した合コンだった。森に住むほとんどの動物が集まっていたが、一番張り切っているのはウサギで、相手かまわず声をかけていた。「マジやばくねえ。あんたチョーかわいくねえ」 いいのか悪いのかちっともわからないため、大抵は無視されている…
月日は流れ、大学一年になった真白と荒太は、同棲生活を送っていた。 幸福に浸る荒太だが、真白はまだ、「剣護はアメリカ留学している」という創造の世界で自分を守っていた。そんな中、二人の間に起きたある出来事がきっかけとなり、荒太は一つの決意をする。その決意とは――――――――。
スティージェ、事実の無い空の中に真実を持った大地が浮かぶ狭間の世界。その地に伝わる昔話を一つ、語らせていただきたい。
おばあさんからもらったキビ団子でイヌとサルを家来にした桃太郎は、これで充分鬼と戦えると考えた。そこで家来探しの旅を中断し、さっそく鬼ヶ島へ行く船の準備を始めた。 すると、そこへ一羽のキジが飛んで来た。「ちょっと、桃太郎の旦那…
近代社会が滅び、再びやってきた魔法が生きる神話時代。 廃れた高層ビル等が古代遺跡として見られるその時代に ある日、太陽がなくなった。