城戸伶と九条院隼人は友人ではない。 フリーライターの伶は辞書代わりに九条院の古書店を利用する。 伶と塔田も友人ではない。言語学者の塔田が伶を「お慕いしています」と云っても。 奇書マニアのウッディーは伶の舎弟かもしれない。但し友人ではない。 腰まである髪にロングスカートの伶は女性ではない。もう小説家でもない。 これは交友録ではない。
「みいろちゃん?」 「うーんと、じゃあみしきちゃん?」 「みずいろってことないよね」 「え、みずいろちゃんなの?」 「そうです、ただの水色です」 ばーさんの葬式に、法衣以外にはお坊さんらしいところのない日和さんがやってきた。
大学1年の綺羅良(きらら)は、同級生で親友の伊乃莉(いのり)のカレ、国府方悠煌(こうかたゆうき)が気になっている。 自分の名前の「綺羅良」が大嫌いだった彼女は、悠煌(ゆうき)の解説で、意外な名前の良さを知る。 興味が愛情に変わった彼女は、持ち前の女力でアタックするがカレは中々動じない。 天才サーファーの国府方悠煌は、大大会で学生初の大技「ロデオフィリップ」を成功させるも、そのまま海に消えてしまう。 必死で海に走る綺羅良・・・・・・。