福来 陽一(ふき よういち)

人間の一番激しい感情、恐怖を題材に、恐怖小説・恐怖伝奇小説を書いていきます。

 最近の書店にワンコーナー置かれている、いまや恐怖の代名詞となった実話怪談。このジャンルが開拓されつつある今、ある程度、恐怖の実態がパターン化してしまうのは仕方がないことだと思います。
 実話怪談パターン化の要因には、短文によるあっさりとした文体が流行っていることが含まれていると思うのです。確かに読みやすく、簡単に楽しめる。ところが、その作品の個性が浮き上がるのは難しい。それは、恐怖感が薄まる一因だとも思います。
 そこで、小説という創作により、何処まで真に迫る恐怖に迫れるか?恐怖の事象にどのような目を注げば、恐怖自体が浮き上がり心に刻み付けられるのか?このようなことに挑戦したいと思います。
 例えば、E.A.ポーの描いた「黒猫」等、形は違えど、誰の心にも爪痕の残る不安と恐怖。そんな恐怖を題材に恐怖小説・恐怖伝奇小説の形を取って、描き出せたら面白いと思うんです。

 ペンネームの福来陽一は、易経の一節、地雷復の卦にある一陽来復のもじりです。一陽が復(また)来る、ということです。陽とは”動”を表します。陰とは”静”を表します。地雷復の卦は一陽五陰。静かな中(五陰)に突如動き(一陽)が始まって、次第に騒がしくなっていく。季節で言えば、草木や人が静まっている冬から、それらが一斉に芽吹く春への過渡期を地雷復の卦は表しています。僕のストーリー展開も、静かな中に突然動きが起こり、物語が進行してゆく。そのような物語を書きたいと思いまして、福来陽一と名乗っています。