ヨドミバチ

驚けることが幸い。

イルェシュニアの仮面

中世西洋風の架空の小国。第二王女ロゥデリュシカの乱心により、父王が殺された。悲嘆に暮れる第一王女イルェシュニアは即刻妹を処刑せんとするが、自らのそば仕えの騎士セリヴによって制される。何よりも対外情勢を憂えていた父王のために、ロゥデリュシカは隣国皇太子と婚約を交わした身であった。次期女王の判断として、イルェシュニアは刃を収め、冷静に騒ぎを収めるべく隣国との再交渉にも臨んでいく。しかし一方で、妹を殺させなかったセリヴと妹がかつて恋仲であった事実が、イルェシュニアの心を確実に波立たせていく。そんなある日、隣国王室から届けられた“翡翠の仮面”と一通の“国書”。その“国書”に記された隣国の要求とその含意に、イルェシュニアは戦慄を覚えるのだった…。

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貪食姫 -The Princess of Glutton-

ある山村を支配し搾取していた野盗たちを旅人が“食べた”。美しい少女の姿をしたその化け物は残党狩りに出かけ、その従者を自称するだみ声の少女が村に居残る。彼女はおびえる村長の息子兄妹を相手に、主人が味方であることを教え、同時にある噂話について問いかけた。その噂話とは、「まったく関係のない二人の旅人が、別々のときに、同じ村で同じ野盗たちを退治した」というもの。そしてその「同じ村」とは、どうやらこの村のことのようだった。驚く兄妹に、彼女は自分たちの旅の目的を告げる…。

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真白きホオヅキ

どちらか選ぶ機会を与えてもいいと、その白い少女は言った――。 この世界は無数の歯車の集合体である。歯車一つのあるなしで、その“ずれ”は過去と未来へ向かって波及する――気がつくと“わたし”は一面を歯車で埋め尽くす場所にいて、その場所の管理者を名乗る少女にそう聞かされた。外れた歯車を拾った彼女は、それを元の場所に戻すかどうかについて、“わたし”の意見を聞きたがっているようだった。 歯車を戻せば、“わたし”には歩ける足があって、死別した妹のいる過去がある。歯車をはずせば妹は生まれてすらこない。代わりにいるのはやさしい弟とかわいい姪――わたしはどちらを選ぶべきだったのだろう。

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