夢の名残

あさのおやつ

 おまるはうんこだった。
 朝霧の深い頃、一人の男が怪しいひらめきを持ちながら徘徊していた。突然男の背後でものすごい音がしたかと思ったその刹那、男の肩は粉々に打ち砕かれていた。スライムが細胞組織の隅々迄浸透したかと思われるくらいうっすらと丸みを帯びたようなそのなで肩は少々小賢しいくらいであった。突然のリモートワークで面食らったせいだろう。
 一人の少女が駆け寄ってきた。その少女は男ににこりと笑いかけるなり、男の頬に一抹の不安させないほどの拍手を送った。3時のおやつはなんだろうとワクワクしていたが、それも徒労に終わった。最近やることなすこと全てが無駄に帰着してしまう事実を受け入れなければならなかったのだ。しかしそれを受け入れたところでなんの解決にもならないことは百も承知だった。ただやるせない心の行き場をなんとかして作り出そうとする必死の抵抗だった。しかし無駄なのだ。
 そうとわかればとんずらこいて3時のおやつを食するに限る。今日のおやつはなんだろな。
 クッキーは硬い。硬くて噛み切れない。グミはどうだろう。これは柔らかすぎて喉に落ちていってしまう。味わいがいのないやつなのだ。
 一番いいのはパンだ。味がないから安心して食べられる。惚れる心配のないやつだから心配症の僕にはとっても良いのだ。今日のおやつはなんだろな。

夢の名残

夢の名残

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-05-31

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