夕暮れの空

もう帰ってくるはずのないひとの

帰りをいつまでも待ちつづけているような

やるせない うらがなしい感情が

ただ しんとしてそこにあるだけ

はじまりは 終わりとならんで歩いている

その歩調をみだしているのは

いつも 終わりばかりを綺麗にしたり

はじまりをなかったことにしたがったりする

ひとりになるのが不器用な

わたしのせいなのかもしれない

きのうなんてないし

あしただってないよ

ぐちゃぐちゃになったきょうにいるだけ

ほんとうのわたしなんていないし

ほんとうのあなただっていないよ

じぶんにうそをつくのは一瞬だけれど

じぶんにうそをつかれたじぶんは

ずっとこころのなかにいつづける

じぶんの抱きしめかたを知らないと

だれにも寄り添えなくなってしまう

白にも黒にもなれないけれど

灰色になりたくもない

傷つくことをわすれてしまうと

傷つけることになにも感じなくなってしまうから

じぶんを傷つけるのはほどほどにしたい

だれも透明にしたくないし

なにも透明にしたくない

歩調はみんなバラバラだけれど

進んでいる道もバラバラだけれど

いつかどこかでまじわれることを

わたしはずっと 信じてるから

夕暮れの空

夕暮れの空

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-05-28

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