自浄

灰のなかに紛れてきみは消えてしまった
霞んだ空からふりそそぐ幾つもの欠片が
わざと無防備にさらしておいた
僕の躰を無惨に引き裂いて
ようやく清々しい気持ちになれた気がした
僕が創り出したきみに苦しめられるのだとしたら
苦しめつづけてほしいと思う
苦しむことが今となってはもう
微塵も怖くはないから
清算なんてエゴイスティックなことは考えていなくて
足りないものを満たしたり
足りすぎているものを掠めたりするつもりもない
ただ 目の前にあるものをそのまま慈しんでいたい
切なさで空を鮮やかにしたくない
哀しみで花を美しくしたくない
歪んだ愛情を振り翳して
一途や孤独を自称したくない
僕もきみも
そのままでいたらいい

自浄

自浄

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-05-05

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