脳みそが沸騰して全身が脱力したみたいな状態でサイゼに行く

湯を沸かすほどの熱い愛みたいなタイトルにしたかったので

恥ずかしいんだけど、昨日ここ星空さんに三つの話と、ピクシブに一つの話を投稿した事で、脳みそが沸騰したように熱くなり更には全身が虚脱感に包まれて、その後何をする気も起きなくなってしまった。
「うわあー」
あれしきの事で恥ずかしいんだけどほんと。

きっと出来る人だったら一日一万とか二万とか、なんだったら10万文字とか書けるんだろうけど、でも私はそういうのじゃない。そんな上等な品、部品は私の中にも外にも一つとしてない。ついてない。だから、これしきの事で私はそうなってしまう。

「うわあー」
スパボを投稿したらもう立つことも億劫になって椅子にだらんってなった。目を瞑ったら即寝れるような感じになった。二秒目を瞑ったらそのままコロッと意識を飛ばせる感じだった。

しかし、
「サイゼ・・・」
しかし今日はサイゼに行く。朝そう決めていた。というのも朝に、この非常事態宣言下サイゼでテイクアウトが出来るというニュースを見たのである。
「今日行こう」
思いついたが吉日。その日に行かなくては。明日になったらきっと面倒になる。そうだ、今日はそれでお酒を飲もう。そうしよう。

朝そういう決断をした。

「・・・」
しかしいくらテイクアウトとはいえ、外食である。外食の部類である。そしていくらサイゼと言っても、外食というのは豪勢な事である。お金を使ってしまう。

「じゃあ・・・」
代わりに何かするべきだな。そう考えて、
「よしじゃあ」
星空さんに話を書こう。と、そうなった。星空さんに何個か短い話を書いて、あとついでにピクシブにも話を書いて、で、まずピクシブの話数を30にして、それから星空さんの話数を40に近づけて、だからできたら5個書いて、で、40個になったらあとは安心してなろうの方でやってる連載の方をやったらいいじゃん。後顧の憂いを晴らせるじゃん。

そうしよう。

それが出来たらサイゼ行こう。意欲的。意義が感じられる。

ってなった。

で、それから8時間くらい経って、やっとピクシブに一個、星空さんに三つ話を書いたら、脳がもうパナイほど熱くなっており、体は虚脱感で満足に動かせなくなっていた。

「えー・・・」
こんな事になるの私?いいの?恥ずかしい。いやいや私がこんなことになっていいわけない。こういうのはもっと熟考してプロットも練って世界観を持ってて文体も緻密とかを得意として自分の作品に誇りを持ってる一流の作家さんがなるべき状態であって、私みたいなどこの馬の骨とも知れない奴がなっていい状態じゃない。絶対違う。何かの間違いだ。

「何にも考えてないのに」
しかし現実にその時は私の脳といい体といい疲れのピークみたいな感じだった。だるーい感じ。開いた口も閉じれないくらい。下あごが持ち上げられないみたいな。

「サイゼ・・・」
いやいやいやいや、大丈夫大丈夫。嘘嘘。脳も体も私に嘘ついてるんだ。そうに決まってる。

半ば無理やり椅子から立ち上がりシャワーで熱い湯を浴びた。風呂から上がるといよいよもう寝れます。横になったらすぐです。みたいなとろーんとした状態になったが、体を拭き外出用の服に着替えて、その間一回も座ったりせず(座ると終わると感じた為)、ほぼ止まらない状態でマグロみたいに止まらないようにして家を出た。マグロ状態で。

「サイゼ・・・」
非常事態宣言が伸びるというニュースがあったが、しかしとりまサイゼでテイクアウトできるのは5月6日までだという。非常事態宣言の延長に伴いサイゼのその期限も伸びるのかどうかは知らない。いやそもそも伸びようがその決定通り5月6日で終わろうが私には関係なかった。サイゼが食べたい。今日食べたい。明日になったらきっと面倒になる。だから今日食べる。そんでお酒を飲む。そのために星空さんで話を書いたしピクシブにも書いた。だから今日サイゼに行く。サイゼに行ってテイクアウトしてそしてそれでお酒飲む。それだけだ。

外はすでに暗くなっていたが構わなかった。歩いて、歩行さえも多少ふらふらとしていたが問題にしなかった。

意志はすでにサイゼに到着している。あとは本体が先行している意志の元に向かえばいい。簡単だ。ゴールは見えている。

「・・・」
非常事態宣言下だからか、夜になった世界にはほとんど人がおらず車が脇をたまに通りすぎるだけ。外灯の明かりが道の先まで照らしていた。

歩道のない道を歩いてサイゼまで行くのだから気を付けないとな。ふらふらとしてたら轢かれるかもしれない。

フラフラと安定しない足を何とかなだめすかしながら私は夜道を一人サイゼまで向かった。

脳みそは相変わらず熱を持っていた。体も虚脱感に包まれていた。ほとんど何も考えずただ機械的に足を動かした。目も耳もほとんど機能していなかった。

そうしてやっとの思いでサイゼに到着した。
「バッファローモッツアレラのピザ・・・」
今日ばかりは重たく感じるドアをあけて入店する。そして席に案内してくれる係の人が来るのを待った。
「テイクアウトで、テイクアウトで」
テイクアウトと伝える練習を小声でしながら。

しかし、いくら待っても店員さんは出てこなかった。
「あれ?すいませーん・・・」
それでも誰も出てこなかった。見回すとサイゼの店内には誰もいなかった。無人だった。

仕方なく店を出る。向かいにファミマがあった。そこにも誰もいなかった。無人。隣のドトールも。無人。王将。無人。

見回しても街には誰一人歩いてない。車も一台も通らない。ただどこも電気だけが煌々と。店内放送みたいな音楽だけが延々と。

怖くなって家に帰った。

元来た道を小走りで帰った。

途中、外灯の下に人が倒れていた。
「大丈夫ですか」
近寄ってみると血で汚れていたが見覚えのある服を着ていた。

私だった。

車に轢かれて死んでる私だった。

「・・・」
言葉が出ない。そんなの放って立ち上がりあたりを見回す。

誰もいない。車も一台も通らない。等間隔に建ってる外灯と家々の明かりだけ。

突然、見える一番遠くの外灯と家の電気が消えた。そしてすぐ次が消えた。それからさらに次。また次。次。次。次。

電気が消えた場所は真っ暗になった。

それが私に迫ってきていた。

自分の鼻も見えないような暗闇が。

私は走った。家に走った。

暗闇はすでにすぐそこまで迫っていた。

私は走った。必死で走った。

でもすぐに暗闇に飲み込まれてしまった。

脳みそが沸騰して全身が脱力したみたいな状態でサイゼに行く

脳みそが沸騰して全身が脱力したみたいな状態でサイゼに行く

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-05-04

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