おわるまで

 そう、だって、ちがう。
 まちに、死のにおいがただよってる。教会の鐘の音。木魚の規則ただしさ。灰が、こぼれて、肺が、悲鳴。
 永遠、は、イコール、寿命。だからないはずのそれを誓うんだ。
 だから、まっかなたにんごときがおわりをみいださないで。宣告、とか、さ。
 砂浜にうちあげられちゃったくらげが、さいごにみあげた月は、でも、ひとにはみえない。かってに、欠けたって、おもいこんだりするけど、月はずうっと、まあるい。
 でも、欠けちゃった。ぽろっと、欠けちゃって、地球の引力に惹かれてやってきて、みいんなそれで、灰になった。腐って、骨になった。
 地球の寿命がやってくるまで生きのびる、ぬいぐるみ、くらげの子孫たち、野生、の動物、植物たち、燃やされないし、たゆたっているままだし、殺されないから。
 いのちの重さは、だって、不平等なのだ。ぼくにとっては。ほかのひとのと、きみのと。それに、ほら、地球と運命をともにする、にんげん以外のと。

おわるまで

おわるまで

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-04-03

CC BY-NC-ND
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