ぼくを見ているぼく

佐々木

一人でだいぶ酒を飲み 吐く
デカダンになったようで気分がいい
道端に寝転がる 誰かに通報される
予想通りで気分がいい
煙草を吸う
ピース両切り 肺に入れ
身体に悪くて気分がいい
結局 公園のベンチで寝る
社会からはみ出たようで気分がいい

朝起きる 頭が痛い
街の人に見られて気分が悪い
あいつらなんもわかっていないよ
そんなことつぶやいて気分が悪い
駅のトイレで鏡を見る
わざと苦々しい 笑みを浮かべる
ひどく不細工で気分が悪い
コンビニで3つ ツナマヨのおにぎりを買って
店の前で頬張る
欲に負けてて気分が悪い
家に帰ってベッドに入る
さっき見た自分の顔を思い出す
ひどく不細工で気分が悪い

気分がいいのは好きだけど
いい気分な自分は嫌い
気分が悪いのは嫌いだけど
悪い気分な自分は好き
そんなことを考えてみて
わざとらしくてイヤになる

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名も知らない女が喘いでいる
性欲もないのに必死になって 果てる
少し楽になって 目を閉じて眠りに落ちる

あの子が残念そうな顔をしている
勝手に期待しないでとつぶやくと
彼女は風に溶けて消えた
仮象に過ぎなかったのだ
ぼくがぼくに期待して
ぼくがぼくを裏切った
ただそれだけ

目を覚ました
太陽はちょうど南で照っている
ぼくは静かに起き上がる
台所でニッカのビンをとり
グラスいっぱいに注いで グイと飲み干す
わからなかった
ぼくはandymoriを歌う
きれいな空が みたいだけなのに
君の声が ききたいだけなのに
叫んだ
きれいな空が みたいだけなのに
君の声が ききたいだけなのに
そうだ ロックスターになろう
ぼくはそう思いながら
ロクに出もしない声を振り絞って
叫んで 叫んで
涙をこぼしながら 叫んだ

ぼくを見ているぼく

ぼくを見ているぼく

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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