タクシー

タクシーを拾った。
心がざわついてる。
目的地が分かっているのに分かっていない感覚。
スマホで目的地を確認するも、微妙。
「すみません、とりあえずXXX方面」
XXX方面って。。。
自分で言っておきながら、何処と無く不覚。
なんだこれは。
下北沢と上北沢を足して5で割ったような路地をそろそろと走るタクシー。
個人タクシーのようなそうでないようなタクシー。
なぜかとある店の前で止まる。
スマホの操作に指が震える。
どこだ、ここ。
料金が上がっちまう。
ここじゃないってことはわかる。
位置情報が微妙。
「すみません、ここで降ります」
居ても立っても居られない気持ちに囃し立てられて思わず言った。
すると、タクシーの運転手は外にいた。
彼は、鞄を開けながら僕を見る。
僕は、支払いのため現金を手渡した。
それを無視するように彼は鞄の中から周辺の目を気にしながらトイレットペーパーを取り出し、
哀れみの眼差しで持って「受け取れ」の目で合図する。
え、いや、確かにそれは有難いんだが、目的地に着いてないし、
そもそも目的地がよく分からないし、分からないけれどトイレットペーパーが有難いことは分かる。
不潔な思いで受け取る自分を恥じながら、
まじまじとトイレットペーパーを見つめていたら目が覚めた。

タクシー

タクシー

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-14

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