空と斥力

こころが脂ぎってしまい 淫らな光を放っている

こんな姿で 目立とうとか 目立たせようとか 馬鹿みたい

窓越しの物干し竿 ゆれる洗濯物をずっと じっと

眺めていると あたまがおかしくなってくる

空をみて 哀しい詩しか紡げなくなってしまったことが

幼少時代のあこがれを皆殺しにしたことを 物語っている

よこしまな生きものになってしまった 十九歳の四月

外にでることが 嫌になった 恐ろしくなった

わたしが詩を使役していたはずが

いつのまにか わたしが 詩に 搾取されていた

書き終ったときに感じるものが 罪悪感に変わっていった

ふえたワタシの演者に 外での暮らしかたを奪われて

出口のない迷宮に 閉じ込められてしまった

(どうしたらいいんだ どうしたらいいんだ どうしたらいいんだ どうすればよかったんだ どうにもならなかった どうにもできなかった どうしたらいいんだ どうすればよかったんだ)

輪郭を主張する幻聴が 耳を掠める

掠めるどころか貫いて みえないピアスがいくつも開いている

耳が こころが 泣いている

自我の割れ目でうずくまる 虚飾を剥がせぬ 哀しき恋慕...

空の分裂は自我の分裂

花のなまえを覚えることも もうどうでもよくなってしまった

だれかがわたしに記憶をあつらえるたびに

わたしのからだは変形していく

それをだれかがじっとみつめている

脂ぎった 淫らなひとみで

空と斥力

空と斥力

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-12

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