上気期間者

茹(ゆ)だる軀(からだ)を引き摺(ず)って

盆の夕陽(ゆうひ)は濃(こま)やかです

御墓参(おはかまい)りの帰り路(みち)

吸い寄せられた自販機で

買ったひとつの罐(かん)コーラ

これも夕陽(ゆうひ)の朋輩(なかま)です

夕陽(ゆうひ)をみながら飲む夕陽(ゆうひ)

わたしも夕陽(ゆうひ)の朋輩(なかま)です

糖の飛沫(ひまつ)を身につけて

夏はわたしに腹上死(ふくじょうし)

夏を妊(みごも)るひとの目は

朱(あか)に塗(ぬ)りつぶされていて

来年の夏を統(す)べります

悠然(ゆうぜん)と告げる桔梗(ききょう)の上で

わたしは此処(ここ)にいるからね

空が仄(ほの)かに笑います

影もつられて笑います

祖父も桔梗(ききょう)も笑います

茹(ゆ)だる軀(からだ)を引き摺(ず)って

盆の夕陽(ゆうひ)は濃(こま)やかです

まだ顔がみえるあいだだけ

みなが夕陽(ゆうひ)の朋輩(なかま)です

上気期間者

上気期間者

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-08

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