ろうそくとマッチ


ツノの生えた少女は一人ぼっちでこっちを見てる。とても悲しそうにも僕を軽蔑してるようにも見える。僕は繋いだ手をぎゅっと握りしめて姉ちゃんを見た。「あの子も誘ってあげたら?」全く知らない少女だったけど、姉ちゃんがそう言うし、あの子のとても悲しそうな瞳を見てたら僕は何故か何もしないではいられない気持ちになった。初めて面と向かって見た少女の顔は太陽に照らされたように眩しくて、キラキラした緑色の目と蒸発したようにほんのり赤いそばかすのある頬は、辺り一面真っ白な雪景色と強く相対して、色濃くはっきりと僕の脳裏に焼き付き一生忘れられない記憶となった。「君、一人?」少女は頷くと髪を解き、赤いリボンを一つ僕に渡した。「これしか持ってない」震える手と、僕を見つめる瞳の奥に隠れた喜びがその時の僕にはそれがどういうことか分からなかった。「いらないよ。今日は、僕の母さんはとびっきり優しいんだ。父さんも気前がいいし。何もしなくても、きっと思いっきりご馳走してくれるよ。」

ろうそくとマッチ

ろうそくとマッチ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-08

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