田舎の暮らし

痩せ細って来るこの町で
生活の音がそのまま聞こえる
人の気配と安心を握った
両手はもう何も持てないから
鮭の皮を残さずに食べるまで
帰れないような気がしていた
無駄なものなど何ひとつなくて
僕等はきっと綺麗事になる
包丁で切れる全ての命を
食べ尽くすために生まれたのに
残すことを美しいと信じた
言葉なんて小さな生贄だ
そこにあるだけで邪魔に思った
そこにないだけで不安に思った
脱がしてしまった下着みたいに
たんぽぽの首が風に飛ばされて
空が青いうちに探さなくちゃ

田舎の暮らし

田舎の暮らし

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-06

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