日々のおと/鳥屋の沈黙

雪の降る季節に入り私の町は静まりかえり、いつも喧しい鳥屋でさえ沈黙している

鳥たちがいっせいに眠りについたのだろうか、夏のうちは雄鶏の甲高い声が響いていたのが今ではもう聞こえない


私は雪の降る日、自分の部屋で眠った鳥しかいない猛禽屋の風景を思い浮かべる

灰色の天井の下で鳥たちが日の当たる公園の夢を見ている姿を

しかし彼らは公園など見たことがないためそのイメージは曖昧としてつかむことができない

イメージは混錯し、木々は針金となって互いに絡み合い飛び込んだ泉は巨大な餌皿となる


そこに陰鬱な顔をした親子がやってきて 眠る鳥達を物色し その中の一羽を買い求める

選ばれた不幸せな雄鶏は、玉蜀黍の泉に浮かんだままどこか遠くのしらないホームへとつれさられていく




この風景はどんな意味合いをもって私の頭に浮かんだのだろう

この風景はいったいどんなストーリーの一場面なのだろう

私はなにもわからないままその風景を忘れ去るためここに書き記している


窓の外の雪は明日の朝までに町を白く沈めることだろう

日々のおと/鳥屋の沈黙

日々のおと/鳥屋の沈黙

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-12

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