ストレッチナイト





ヨーグルトを食べて晴れた夜には
パジャマ姿でサンダルを履く。
早くも後悔,
ベランダは服を着ない裸で
寒暖差の隙間で肌は戸惑う。
寒がりなんて関係ない。
曇りは冬にこそ力を発揮する。
内に向かってキュッと締まる。
猫背の骨が強くなる。







こんな時こそ進めとばかりに,
急ぐ人が二輪車で歩行者を抜き去る。
等間隔(だと思う)街灯は
灯りから外れた急ぐ人を消し,
消しては姿を世に連れ戻す。
遅れて歩く人は手元の
携帯(あるいはスマホ)で
街灯の思惑を外れて消えない。
小さくなる急ぐ人。
消えもしない歩く人。
月明かりはそこまで明るくないのだ。
帰り方の仕方に工夫はあって然るべき夜。
急ぐ人は先を行った。
歩く人は機械式の,
淡い雰囲気の顔して歩いてる。







手摺に乗っけなかった首を次いであげる。
空はUFOもバレる透明感を深めつつあった。
明日の快晴は約束された,
と断じたくなる。
明日の曇りは中止しました,
と諳んじたくなる。
そうしたら,
手ぶらで空いた両手を何処かで
打って痛めたあとから浮かぶ涙で,
世界を見るのも悪くない。
浮いたコンタクトとの矯正で
火星人の蛸足を発見できる。
自分史上,発の出会い。







カップ上のクレーターの
凹みが私の容積。
まだヨーグルトは残ってる。
月明かりは不明な白さ。







保存された明日のコンタクト。
室内で就寝中。
眼鏡の夜更かし。
猫背の子。







今年の仕事終わりの雰囲気を醸す
ロッキングチェアは片隅にあった。
壊れていたのは座って知った。
左右不バランスで動くのは良くない。
自転まで心配になる。
ただの椅子として使うとして,
並べ置かれた植物と並ぶ。
根の生やし方と向きに困りそう。
興味津々が尽きてなくて
高層階のマンション育ちを多分辞める。
家出植物なんて名称は変。
植木鉢と森との違いは見かけよりない。
家に属せずに植物は
月に向って生きて並ぶ。
続く壊れたロッキングチェア。
片隅での不バランス。








頬張る乳酸菌。
溶けるすぐに
猫背の骨を伸ばす。







やまない晴れに
ロッキングチェアを揺らして降りる。
この星には慣れたものだから








二輪車は四輪車になって
真っ直ぐをライトで照らす。
速度に気を付けてるのが夜らしい。
運転手の息遣いがコンクリに吸われずに
辺りを落ち着いて刺激する。
口元のプラスチックスプーンが嫌に軽い。
ヨーグルトの中に刺して収める。







1カップ。








室内でも食べられることに気付いて,
ここで食べ続けるのは,
たまに四つ足で歩行して二足歩行を
確認するのに似てる。
猫背ごと伸ばしたらしっくりして
身体中で肺も伸びた。
室内のドアー近くにある姿見。
いつもは出掛ける時の最終確認を,
浅い今日の最初にする。
貯めた体温が散った体の線が
浮き彫りになる。
確定された猫背でないこと,
頭上が晴れてることも写った。







せっかくの乳酸菌を活発化させたくて
残りは室内で食べる。
コンクリ叩いてサンダルを履き進めて
並んだ植物の横に脱いでから,置く。
電灯は要らないか。
室内も明るい。







積まれたCDを上から崩して
ランダムにかけたのは
ダンスミュージックになってしまった。
仕方ないし
シャッフルもしない。







紙の1カップは重いので,
斜めのスプーンをそのままにする。
口を拭いたティッシュも入れた。
ヨーグルトに期待する。






姿を見ることなく,晴れて夜は
猫背の骨組みを箪笥に仕舞い
眼鏡もたたんで片し
足も伸ばす。







慣れた二足歩行。
諳んじた明日は雨不足を語る。
そういうことになりそう。
ヨーグルトを食べて晴れた夜。

ストレッチナイト

ストレッチナイト

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-31

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