おどる、ぼくら
てのひらに、星。
たぶん、かんぜんな自由、というものはなくって、海の底で眠ってる、ふしぎなかたちのいきものたちが、いつか、ぼくたちを支配したって、おかしなことではないし、神さまが、つえをふりかざすのをあやまって、とつぜん、季節がまざりあったり(夏なのに、雪が降ったり、とか)、街が、砂漠になったり、ひとが、とけたりしても、それは結局、ぼくたちが、かんぜんな自由、ではなくて、神さま、という存在のあしもとに、いるから。不確かなものに、おどらされているのね、ぼくらは。
十二月のおわり。
ながい、ながい時間やっている、音楽番組の、なつかしい歌、とか、しらないアーティスト、なんかを観ている、ぼくに、違和感。
未来、とか、希望、とか、夢、とか、愛、とか、すばらしいねって思っている、ぼくに、ひどい、違和感。
おんなのこたちがうたう、反骨精神。
おとこのひとがうたう、愛と憎悪。
きみがくちずさむ、アイドルソングの、言葉のうらがわにあるものを想像して、バックグラウンド、とか、そういうの、深読みすればするほど、わからなくなってゆく。唐突に恋しくなる、春の動物園の、あの、憂鬱そうに遠くをみつめていた、ライオンのこと。ふいに思い出す、とりこぼしてしまったであろう、過去のめぐりあい、進路、愛につながるなにか、夢につうじる、なにか。
テレビのなかでちかちか光る、カラフルな照明が、はじけて、明日のことをすこしだけ、想う。きみと手をつなぎたくって、たぐりよせた。冬休み。十五時の部屋。
おどる、ぼくら