無題

いつからかお終いを知ってしまった
物語の最低な言葉で区切った空白へ
このままだよ。きっと大人になれもしないから
足りない言葉をただ拾うまま また拾うまま

人生の成り損ないみたいな
音の無い声でまだ残るだけ
指先でなぞって今やっと
音を知るヒットソング
ずれた第六弦で弾く

さようなら。
死んじゃいたいなんてもうずっと
君と言えやしないあの日々を超えて
こんなエンディングがあることを知った
幸せも夢も将来もいつも過去形だから
気がつくこともないから 多分

こんな夜が怖い 消えるのが怖い
花の散り際についた値を歌うなら、ねえ
この人生もどうか咲いてよ
言葉だけは残してよ

さようなら。多分もう最後までのカウントダウン
灯のついた花火だ。音もない終焉だ
もうずっと 消えず残る言葉で誰かの胸に
咲かせ花束 いつか来る終わりを悼んでよ
後書きに残す言葉はないから

幸せな人が吐くしにたいって言葉が余りに多いから
満たされた人が吐く不幸せな言葉が余りに痛いから

もうこんな人生ひとつを捨てたくて。
でも飽和しきったさよならのひとつが
こんなに悲しいなんて思いもしなかったから
またねもアンコールも人生にはありえないから

さよならの言葉は言わないでおこう

無題

無題

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-20

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