風が

風が

霜月、
風が、高い木々を幹から揺らしている。
枝は、空を急ぐちぎれ雲の間を激しく行ったり来たりして、
鳥たちは、風に運ばれ舞い上がる。

羽根をまっすぐに伸ばし、乗っているのか、もてあそばれているのか。
鳥たちは少しも抵抗しない。
風の意志なのか、彼らの意志なのか。
どこへ行くのかを知っているのか、知ろうとはしないのか。
風は、木の葉を渦にして巻き上げ大笑いし細い枝をしならせるけれど、
鳥たちの翼は恐れない。
風の行く先が見えているのか、見ようとはしないのか。
それでも彼らは自由に吹き飛ばされる。

やがて、たどり着く。
風がやさしく息を止める瞬間、ふわりと降ろしてくれる場所に。
そこで羽根を休め温めるが、
また飛び立つ。
風が、舞い踊る空へ。

風が

(pralea vasileによるPixabayからの画像)

風が

北国の自宅の窓から見える景色です

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-19

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