星の海で眠ろう
深い夜のなかに、きみはいて、ひそやかな呼吸を、くりかえしている。ぼくらにはきこえない、惑星のささやきみたいに。
せんせいは、月をつかむまねをして、わらう。じっさいにつかんでいる、くうきは、ひんやりしているよ、冬のせいかな。せんせいは、恐竜が滅んだのも、ぼくを好きになったのも、神さまのせいにして、わらってる。
星空の天蓋。
だれかを好きになったとき、すこしばかりこころが狂うのは、しかたのないことで、たとえば、いいかたはわるいけれど、精密にできたロボットのなかに、不純物がはいりこんだみたいな感覚に、にていると思う。そう思っているぼくを、せんせいは、なげかわしい、という。せんせいの、ひふは、いつも、つめたくて、冬のみずうみのようだ。
踏切の音が、騒々しいので、耳をふさいで、目を、せんせいの手に、かくされて、せかいと一時的に、遮断されたとき、みえた、深海を想わせる、夜の海で、きみが、からだをまるめて、ゆらゆらと、ただよっていた。
星の海で眠ろう