輪郭の無いシャボン玉

輪郭の無いシャボン玉

辺りは闇。
見えぬ網。
どこへ浮遊しても逃れることができない感覚に囚われる。
生きてるのか死んでるのかさえ分からない。
輪郭の消失。
辺りは闇のはずが煌めいて見える。
オーブが僕を逃さない。
朝の光、昼の光、夜の灯り。
独りにしてくれ。
もう、誰も目撃しないでくれ。
僕すらも僕を目撃しないでくれ。
音楽や歌声、絵、物語は僕をすり抜け独り歩きしていく。
独立の時、旅立ちの時。
僕をダンスフロアにして踊り始める。
僕はただそれを見つめ続ける。
何もかもが無意識に僕を逃さない。
ここは監獄。
何をすれば釈放されるのかわからない。
僕はこのまま、足跡まみれ。
仕方がない。
意識がある以上、消してくれない。
きっと宇宙まで行こうとも、ほかの惑星へ行こうともそのまま。
心は宇宙よりも暗い。
だって光から生まれたわけではないから。
空虚へ堕ちる吐息から生まれたから。

輪郭の無いシャボン玉

輪郭の無いシャボン玉

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-03

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